Hibiya-Kadan Style のスタッフは、お客様にお花の魅力を伝えるため、日々工夫や努力を重ねています。今回はその取り組みの一つとしてリシアンサスの産地見学に行ってきました!この記事ではその様子をお伝えします。
はじめに
リシアンサスをご存じでしょうか?

和名のトルコキキョウとして聞き覚えのある方もいらっしゃるかもしれません。
お花屋さんでは1年を通して見かけるお花ですが、実は夏が旬のリシアンサス。その上品で華やかな見た目から、ブライダルシーンで大活躍するお花です。花色や咲き方も豊富で、その繊細な見た目に反して意外に花持ちがよく、私たちショップスタッフも重宝しています。
今回は、そんなリシアンサスの生産者である花族 渡辺貴志さんの圃場を訪ねて、茨城県結城市に訪れました。

渡辺さんの農園がある茨城県結城市は、伝統工芸と農業が盛んな地域です。特に有名なのは、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録された結城紬(ゆうきつむぎ)や桐たんすといった伝統工芸品です。
また、内陸性で日当たりが良い気候と消費地に近い立地条件を活かし、リシアンサスをはじめとする様々な農産物の生産が盛んに行われています。
いざ農園見学へ!
渡辺さんのリシアンサス農園では、MPS認証(環境に配慮した花生産の国際基準)を取得されています。農薬の使用に関しても高いMPS基準をクリアしており、周辺環境にも働く人にも優しい工夫をたくさんされています。

まず最初に、花を摘む前の段階のリシアンサスを見させていただきました。
普段お店で目にするリシアンサスも背が高いですが、ここではそれよりもはるかに高く、すらっと真っすぐ伸びたリシアンサスがずらっと並ぶ光景は壮観でした。ハウスの中は花が蒸れないよう湿度が抑えられ、思いのほかカラッとした空気。虫の侵入を防ぐため天窓にまでネットが張られていました。さらに驚いたのは、地面にほとんど雑草がなく、とてもきれいに整えられていたことです。同行したバイヤーも「こんなに畑がきれいな産地はなかなか見ない!」と感心していました。
まだ「芽かき」という作業をする前だったため、植えられているリシアンサスには1株に10輪以上のつぼみやお花がついているものが多くありました。つぼみを少なくすれば栄養が分散せず一輪に栄養が集中して、もっと立派な花が咲きます。しかし渡辺さんは、万が一お花がうまく咲かなかった時のためと、お花を楽しんでくれる方にこれから咲く楽しみを感じてもらいたいという気持ちを込めて、あえて多くのつぼみを残しているそうです。
もう一つ目についたのは、畑の地面に敷き詰められている藁や稲。これらは湿気対策になるだけでなく、病気や菌の発生を抑える効果があるそうです。薬剤を使用するとどうしても環境負荷がかかるため、手間はかかっても、MPSの観点からこの方法を取り入れているとのことでした。

苗づくりの現場を見学
次に見学させていただいたのは、リシアンサスの苗を育てる(育苗)過程です。
冷蔵庫で育てる!?
渡辺さんの苗づくりは、まず種を撒いた苗箱を冷蔵庫で冷やすことから始まります。さらに驚いたのは、種を植える前の土も冷蔵庫で冷やすこと!土が温かいと冷蔵庫の中で発芽してしまうことがあるので、それを防ぐために行っているそうです。こうして冷やした土に種を撒き、また冷やしてからハウスに移し、発芽を待ちます。この日見た苗は今年の秋に収穫されるそうです。

環境にやさしい紙のポット
育苗の際、多くの農家さんがプラスチック製のポット「セルトレイ」を使う中、渡辺さんは紙製の「ペーパーポット」を使っていました。ペーパーポットはセルトレイに比べて管理が難しくコストもかかりますが、根が紙を突き破って伸びやすいため、畑に植え替える際に根を痛めにくく、環境にも優しいという大きなメリットがあります。

こうして大切に育てられた苗は、1か月かけて土壌を消毒した畑にようやく植えられます。
収穫されたばかりのリシアンサス
見学の日の朝に収穫されたばかりのリシアンサスも見させていただきました!仕分け前のお花も不織布で丁寧に保護されていましたよ。

おわりに・・・
今回の見学で強く感じたのは、渡辺さんの お花、働く仲間、販売に携わる人、そしてお客様への想いが、ひとつひとつの丁寧な作業へとつながっているんだなということです。現代のニーズを取り入れるための市場調査などにも力を入れて試行錯誤を重ねる一方で、「自分の理想とするリシアンサスを咲かせたい」という強い情熱もひしひしと伝わってきました。
ほんの数時間の見学でしたが、生産者としての計り知れない努力を目の当たりにして特に印象的だったのは、渡辺さんの「お客様の手元で長くお花が楽しめるように」という言葉です。私たちショップスタッフもただお花を売るだけでなく、お客様からは見えない生産者さんの想いを伝えていくと同時に、改めて手塩にかけて育ててくださったお花をこれからも大切にお客様のお手元へお届けしようと、身が引き締まる思いがしました。
お忙しい中、貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうございました!
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