マリーゴールドは、色鮮やかな花が長く楽しめる人気の園芸植物です。種まきから育てやすく、日々の管理もシンプルなため、ガーデニング初心者にもぴったり。
この記事では、マリーゴールドの基本的な育て方から、品種ごとの特徴、水やりや肥料のコツ、病害虫対策まで詳しく解説します。自宅のプランターや庭でも、手軽に季節感を楽しめるマリーゴールドを育ててみませんか?
マリーゴールドは初心者でも育てやすい部類の花

マリーゴールドは手間がかかりにくく、種からでも簡単に育てられる草花です。強い日差しにもよく耐え、乾燥にも強いので、うっかり水やりを忘れてしまっても枯れにくいのが特徴。
花期が長く、4月から11月まで咲き続ける点も人気の理由です。また、品種によって花の大きさや色、咲き方が異なるため、好みに合わせて選ぶ楽しさもあります。
ここでは3種類の代表的なタイプをご紹介します。
【フレンチタイプ】生育が早い&枝が横へ分岐しやすい
フレンチマリーゴールドは、全体的にコンパクトで横に広がる性質があり、鉢植えやプランターで育てるのに適しています。花はやや小ぶりながらも、黄色やオレンジ、赤系のバリエーションが豊富で、花壇に彩りを与えてくれます。
発芽や開花も早く、初心者が育て始めるには最も扱いやすい品種のひとつです。強い日差しにもよく耐え、風通しの良い場所であれば次々と花を咲かせてくれますよ。
【アフリカンタイプ】暑さに強い&背丈が高い
アフリカンマリーゴールドは、背丈が30〜80cmほどになる中〜大型の品種です。フレンチタイプよりも花が大きく、丸くふんわりとした咲き方が特徴。1輪でも存在感があり、切り花としても楽しめます。
特に暑さに強く、夏の直射日光にも負けず元気に育ちます。背が高くなるため、花壇の後方や鉢植えで高さを出したいときにおすすめです。なお、倒れやすいので支柱を立てると安心です。
【メキシカンタイプ】一重咲き&ハート形の花びらが特徴
メキシカンマリーゴールドは、日本ではあまり流通していない珍しいタイプですが、一重の花びらとハートの形が特徴的で、ナチュラルな雰囲気を好む方に人気です。
草丈は中程度で、自然な姿を保ちながらしっかり咲くため、ワイルドガーデンや野草風の植栽によく合います。香りも強く、虫除け効果が高いとされ、ハーブ的な使い方をされることもあります。
開花時期は4月~11月!種まきは3月~5月がおすすめ

マリーゴールドの花期は長く、4月から11月まで次々に花を咲かせてくれます。早めに種をまけば、春から秋まで長く楽しむことができます。種まきに適しているのは、気温が15℃を超え始める3月~5月頃。特に暖かくなった4月以降は、屋外での育苗もスムーズに進むためおすすめです。
また、発芽から開花まではおよそ50~60日ほど。夏のイベントやお盆、秋のガーデンにも彩りを添えられるため、季節ごとの花計画にも組み込みやすい花です。育てる地域の気候に合わせて、まきどきを調整すると良いでしょう。
基本は一年草!冬越しできる多年草の品種も

マリーゴールドは基本的に一年草として扱われ、寒さにはあまり強くありません。秋が深まり気温が下がってくると、徐々に株は枯れてしまいます。そのため、日本では春に種をまき、秋まで楽しむサイクルが一般的です。
ただし、メキシカンタイプの一部や改良品種には多年草として育てられるものも存在します。こうした品種は霜の当たらない温暖な地域や、室内に取り込んで管理すれば翌年も花を咲かせてくれる可能性があります。冬越しを目指す場合は、霜対策と水やりを控えめにすることがポイントです。
【マリーゴールドの育て方】種まき方法・種から苗までの過程を解説

マリーゴールドは、種からでも比較的簡単に育てられる花です。発芽率も高く、家庭で育苗するのにも向いています。
ここでは、種まきの準備から苗への育成までの基本的な流れをわかりやすく解説します。
水はけのよい土を準備する
種まきの前に、まずは土の準備を行いましょう。マリーゴールドは過湿に弱いため、水はけの良い培養土を使うのがポイントです。
市販の「花・野菜用の培養土」や「種まき専用の土」でも問題ありません。元肥は必要ないので、肥料分が控えめな土を選ぶと安心です。
また、育苗トレイやポリポットの底には必ず水抜き穴があるか確認し、清潔な状態で使用しましょう。再利用する場合は、病害虫の原因にならないよう、あらかじめしっかり洗っておくのがベストです。
トレイか鉢へ種を「筋まき」または「ばらまき」する
種をまくときは、育苗トレイや浅めの鉢を使って「筋まき」や「ばらまき」にします。筋まきは土の表面に浅い溝をつけて一定間隔で種をまく方法、ばらまきはまんべんなく土の上に散らす方法です。
覆土(うわど)は、種が隠れる程度のごく薄い土をかぶせます。マリーゴールドの種は光がないと発芽しにくい「好光性種子」なので、厚く覆わないように注意してください。まき終えたら、ジョウロで優しく水を与えましょう。
葉が2~4枚ほど出てきたら6センチ以上のポットへ移す
種をまいてから1週間ほどで発芽が始まり、順調に育つと本葉が出てきます。葉が2~4枚くらいになったタイミングで、「間引き」と「鉢上げ(ポットへの移植)」を行います。
この段階で根をしっかり張らせるため、直径6cm以上のポリポットへ植え替えるのが理想です。間引きした苗は、根を傷めないよう優しく扱いましょう。植え替え後は明るい場所で管理し、土の表面が乾いたら水を与えるようにします。
発芽率を高めるために種を水につける方法もある

マリーゴールドの種はそのままでも発芽しやすいですが、より確実に育てたい場合は「吸水処理」をしてからまくのがおすすめです。これは、まく前に種を水に浸けて、あらかじめ発芽のスイッチを入れる方法です。
具体的には、種を常温の水に4〜6時間ほど浸けておきます。長時間浸けすぎると腐敗の原因になるため、12時間以上の放置は避けましょう。吸水後はすぐにまき、乾かさないよう注意して管理します。特に春先や気温が安定しない時期に発芽率を上げたいときに効果的です。
マリーゴールドの日々必要な作業|プランター・花壇で育てる場合

マリーゴールドは丈夫な植物ですが、日々のちょっとしたケアが美しく咲き続けるためのカギになります。
ここでは、日当たり・水やり・肥料管理のポイントを解説します。
日当たり・風通しがよい環境で育てる
マリーゴールドは日光を好む植物です。1日あたり5時間以上の直射日光が当たる場所で育てると、花付きが良くなります。
ただし風通しが悪いと病害虫のリスクが高まるため、隣り合う植物と間隔を空けるようにしましょう。
水やりし過ぎに注意
マリーゴールドは比較的乾燥に強く、水のやりすぎは根腐れの原因になります。プランターと花壇では水やりのタイミングが異なるので、それぞれの特徴を押さえておきましょう。
プランターなら土が乾燥していたら水やりする
鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷり水を与えます。日差しが強い時期は、朝か夕方に水やりを行うと蒸れにくくなります。
花壇なら雨が降らない日が続いたときに水やりする
地植えでは基本的に自然の雨で十分ですが、梅雨明け以降の猛暑日など、土が極端に乾いた場合は補助的に水をあげましょう。
肥料切れにならないよう定期的な追肥を忘れない
マリーゴールドは成長が早いため、栄養を切らさないことが大切です。元肥を土に混ぜ込んだ場合でも、2週間〜1カ月に1度、液体肥料や置き型の緩効性肥料を追加することで、花の数や色つやがアップします。
マリーゴールドの育て方のコツ

マリーゴールドを美しく長く咲かせるためには、日々のちょっとしたお手入れがとても大切です。
特に「花がら摘み」と「切り戻し」は、花付きや株の健康状態に大きな影響を与える重要な作業です。
花が枯れたら花がら摘み!花茎の付け根から摘む
咲き終わった花をそのままにしておくと、タネを作ることにエネルギーを使ってしまい、新しい花が咲きにくくなります。花がしおれたら、早めに「花がら摘み」を行いましょう。
ポイントは、花のすぐ下ではなく「花茎の付け根」からハサミでカットすること。茎が残っていると見た目も悪く、病気の原因にもなることがあります。
こまめに摘むことで、株全体がすっきりして風通しも良くなり、次々と新しい花を咲かせてくれます。
夏を乗り越えるための切り戻しは7月~8月、9月の2回行う
真夏になると、マリーゴールドは暑さや蒸れで株が弱ることがあります。そのまま放っておくと株が乱れたり花数が減ってしまうため、「切り戻し」をして株をリフレッシュさせましょう。
おすすめのタイミングは7月~8月、そして9月の初めの2回。全体の高さの1/3〜1/2ほどを目安に、思い切って茎を短くカットします。一時的に寂しくなりますが、その後の新芽がぐんぐん伸びて再び花を咲かせるので、秋にも見ごたえのある姿が楽しめますよ。
マリーゴールドを育てるうえで気をつけたい害虫・病気

丈夫なマリーゴールドですが、放っておくと害虫や病気に悩まされることもあります。早めの予防と対策で、健康な株を育てましょう。
アブラムシやハダニ|害虫が苦手な植物を一緒に植えたり薬で対策する
アブラムシやハダニは、葉やつぼみに集まり栄養を吸うため、生育を妨げたりウイルス病を媒介することがあります。見つけたらすぐに駆除スプレーで対処しましょう。
予防として、虫が嫌うバジルやミントなどのハーブ類と一緒に植えるのも効果的です。
立ち枯れ病|水はけのよい環境を徹底して予防する
立ち枯れ病は、根元から急にしおれてしまう病気で、水はけの悪い場所や過湿が原因になります。
培養土に腐葉土やパーライトを混ぜて水はけを改善するほか、鉢の受け皿に水がたまらないよう気をつけましょう。
灰色かび病|風通しや日当たりをよくして予防する
灰色かび病は、枯れかけた花や葉に灰色のカビが発生し、広がってしまう病気です。風通しの悪い場所や、雨に長く当たることで起こりやすくなります。
花がらを放置しない、茂りすぎた葉を間引くなど、環境の改善が最大の予防策です。
マリーゴールドは直播でも育てられる!ただし注意点も

マリーゴールドは育苗トレイなどで発芽させてから植え替える方法が一般的ですが、気候が安定した春〜初夏には、直接プランターや花壇に種をまく「直播(じかまき)」でも育てることができます。
ただし、いくつかの注意点を押さえることが大切です。
ふかふかの土にまいて覆土は軽めに
直播の場合は、あらかじめ土をふかふかに耕しておきましょう。固い土では根が張りにくく、発芽率も下がってしまいます。
種は間隔をあけてまき、軽く土をかぶせる程度にとどめます。マリーゴールドの種は好光性なので、土をかけすぎると発芽しにくくなるため注意しましょう。
発芽したら間引きをして株間を適度に調整する
芽が出そろったら、元気な芽を残して間引きを行います。間引きをせずに密集したままだと、株同士が競い合い、ひょろひょろに育ったり病害虫のリスクが高まります。
最終的には株間を20〜30cmほど確保し、風通しよく育てられるようにしましょう。
マリーゴールドの花言葉は「変わらぬ愛」「信頼」など多岐に渡る

マリーゴールドは見た目の美しさだけでなく、花言葉も魅力的な花です。代表的なものに「変わらぬ愛」「信頼」「可憐な愛情」などがあり、贈り物や寄せ植えに選ばれる理由のひとつ。
一方で、西洋では「悲しみ」や「嫉妬」といった少しネガティブな意味も持つことがあるため、相手に贈る際には前向きな意味を添えて渡すと安心です。
色によっても意味が異なることがあり、オレンジは「健康」や「幸せ」、黄色は「友情」や「優しさ」といったメッセージを伝えるのにぴったりですよ。
マリーゴールドに関するよくある質問
マリーゴールドは何回も咲く?
はい、マリーゴールドは花が咲き終わっても、花がら摘みを丁寧に行えば次々に新しい花を咲かせます。4月〜11月の長い期間、繰り返し開花するのが特徴で、特別な剪定をしなくても、こまめなお手入れだけで長く楽しめます。
マリーゴールドをほったらかしにするとどうなる?
乾燥に強い植物とはいえ、完全に放置すると花付きが悪くなったり、病気・害虫が発生しやすくなります。 特に花がらを放置すると、種づくりにエネルギーを使ってしまい、次の花が咲きにくくなります。最低限、週に1〜2回の水やりと花がら摘みだけでも続けることで、美しい状態を保つことができますよ。
マリーゴールドは初心者でも育てやすい花!水はけや日当たりに注意して鮮やかな花を咲かせよう

マリーゴールドは、ガーデニング初心者にとって心強い味方です。発芽しやすく、乾燥や暑さにも強いため、プランターでも花壇でも育てやすいのが魅力です。さらに、品種によって花の大きさや色が異なり、好みに合わせて選べる楽しさもあります。
育てる際は「水はけの良さ」と「日当たりの良さ」を意識するだけで、驚くほど元気に育ってくれます。
花がら摘みや切り戻しなどの簡単なお手入れをしながら、長い花期を思いきり楽しんでくださいね。色鮮やかで可憐なマリーゴールドは、きっとあなたの暮らしに彩りと癒しを与えてくれるはずです。